「端末ゼロ円禁止に効果はあったのか」、日本の携帯電話業界を語るシンポジウムで

「端末ゼロ円禁止に効果はあったのか」、日本の携帯電話業界を語るシンポジウムで – ケータイ Watch

そもそも、端末の代金支払いに関する縛りを極端に嫌う人が多ければ、今頃Apple Storeや同社の通販サービスから直接iPhoneを購入する人や家電量販店みたいなところでキャリアフリー端末を購入する人が増えていてもおかしくないはずであろう。

だが、実際はどうだろうか。それをやっている人はごく一部のITリテラシの高い人々が大半である。まだまだ多くの人々がキャリアの端末販売とそのキャリアが提供する購入補助制度を利用しているというのが現実であろう。

つまり、消費者が求めていることは「キャリアの移行を容易にする」ことではなく「『話題のスマホ』をより軽い経済的負担で購入できるようにする」ことではないのだろうか。

仮にキャリアから端末販売業を切り離したらどうなるかと言えば、それでも「端末代金の支払いに関する『縛り』」というのは緩和されることは無い。分割で支払われた端末代金の扱いは信販会社に移ることとなり、数十万円もするような端末をそう頻繁に買い替えようと考える人はいないため、下手したら端末メーカーに対してより打撃を与える可能性は高いのではないだろうか。

もちろんそれはキャリアの新サービスや新規格の普及にも影響を与えることになり、ユーザが買い替えを控えることで旧規格の端末の利用者が一向に減らず、サービス開始が大幅に遅れる、もしくは無線帯域の利用効率も一向に下がらないなんてことになりえる可能性は極めて高いのではないだろうか。

キャリアが端末購入補助を負担しなくなることで価格が低下するというのもまず考えものである。

実際にキャリアの看板があがっている専売店で行われているサービスを考えてみたらいい。新規の契約や契約変更、契約に関する相談ならまだよいと思われるが、それだけではなく端末の使い方やその端末で利用できるサービス(Webサービスやソフトウェア)のサポートまでその店舗の従業員が担当しているほどである。さらには高齢者向けに端末の使用方法を説明する講座まで無料で開催しているほどである以上、そのサービスの幅は相当広く、そこに相当な人件費や従業員に対する教育費がかけられていると考えてもよいと思われる。

もし仮に、キャリアが端末販売を行わず、ユーザが自由に端末を持ち込めるようにしたならば、前述の仕事のほかにもその持ち込まれた端末の設定やその端末での操作方法の説明、さらに端末が対応していないなどの理由でその端末で契約を受け付けられなかった場合の対応や外国人が持ち込んでくる日本語や英語以外の言語に設定された端末での設定など、今以上に仕事や教育内容が増えることは目に見えて分かる。

もちろんそれに対するコストは消費者に転嫁されることになり、実質的な利用価格はほとんど下がらないか、もしくは逆に高騰する可能性もあるのではないだろうか。

仮に、端末の使用方法に関するサポートはすべてパソコン教室が運営する有料講座に任せるにしても、そういった負担を好まない消費者が「機能を使いこなせない可能性が高い」という理由で最新型端末の購入をためらい、普及するのは旧規格の通話専用端末ばかりになれば前述の通り、より効率の高い最新の通信規格やより便利な最新サービスの普及が進まず、料金が高止まりしたままになる可能性は極めて高いのではないだろうか。

もちろんそうなれば、高性能端末に依存する商売をしている業者すべてが窮地に陥ることになる。例えばLINEをはじめとしたメッセージサービスやそれに関連する市場、ケータイゲーム市場は真っ先に壊滅的なダメージを受けるのではないだろうか。

そういうわけで、日本の携帯電話市場はキャリアと端末メーカー、そしてコンテンツプロバイダの三者による垂直統合モデルで歩んできたという歴史があり、仮にキャリアによる端末販売を丸々規制するようなことを行ったところで、バラ色の未来がやってくるどころか逆に日本の携帯電話にかかわる市場に大打撃を与える可能性が極めて高い。

それほどキャリアの存在というのは重要であり、キャリアによる携帯電話市場への貢献というのは評価してもよいのではないだろうか。仮に、高性能端末の敷居を下げることが無ければ、高性能端末は本当に仕事に必要としているビジネスマンやガジェットオタクのおもちゃとして存在しているだけで、今のように高性能携帯電話に依存する市場が拡大することはおそらく無かったことであろう。

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