「8Kはニッチ、あまり意味ない」パナ社長がバッサリ

確かに、津賀氏の発言通りであろう。

「8Kはニッチ、あまり意味ない」パナ社長がバッサリ:朝日新聞デジタル

津賀氏は「放送のソース(番組)が非常に限られている。それだけでは勝負できない。(テレビを出しても)あまり意味はないでしょ」と語った。日本ではNHKが昨年12月に世界初の8K実用放送を始めたが、普及には時間がかかるとみている。

「8Kはニッチ、あまり意味ない」パナ社長がバッサリ:朝日新聞デジタル

8Kのみならず、4Kでも、ハイビジョンでも同じことは言えるわけであるが、そもそもコンテンツがなければ意味はないのは当然である。

だが、そのコンテンツは作ろうと思えばどうだって作れるものの、日本においてはもう一つハードルがあるのではないだろうか。

地デジの足音(99) フルHDを超える高精細テレビ「4K」は本当に必要か?(4) | マイナビニュース

上記記事でも示されている通り、その一つがテレビをはじめとした動画コンテンツの視聴スタイルである。

日本のテレビ視聴者の多くがテレビ番組そのものを食い入るように視聴するのではなく、何か別の作業をしながら、もしくは会話しながら、場合によっては映像そのものを視聴せず環境音楽的に利用しているということが多いと思われる。

極端な例になれば、最近ではテレビチューナ搭載のカーナビゲーションシステムが普及しているが、それでテレビチューナを動かしながら運転中に音声だけを聴いているという人々も多いのではないだろうか。

動画コンテンツに関しても、同じくそこに映し出されているコンテンツに集中するのではなく、昼休みに食事しながら、もしくは何かの待ち時間のような隙間時間に楽しまれることも多いのではないだろうか。

つまり、コンテンツそのものを腰を据えて視聴するというスタイルにはなっていないのである。

だが、4Kが映えるコンテンツというのはどちらかというとカジュアルに視聴するようなものではなく、「腰を据えて」視聴するようなものになるのではないだろうか。つまり、テレビの視聴スタイルからして高画質である意味がないわけである。

よくこの手の批判に「バラエティを高画質で視聴して意味があるのか」というものがあるが、そのバラエティにせよ日本人のテレビ視聴スタイルから生まれたコンテンツであることは認識しておくべきであろう。

今後、高画質放送を普及させるためには動画コンテンツに対する人々の意識を改革し、視聴スタイルそのものを一新させる必要があると思われるが、前述の通り仕事やコミュニケーションのあり方が変わり、住宅事情や労働環境、コミュニケーションスタイルも諸外国と異なる以上、今更難しいものであろう。

津賀氏は前述の視聴者との意識の隔たりという事情を踏まえた上でこのような発言を行ったのかはわからないが、地上波4K放送を実現できたところでそれを理解していない限りは高画質化に対する需要やそれに対する視聴者への反応が今後も変わることはまずないと思われる。

仮に、地上波4K放送の実現により既存ハイビジョン放送を打ち切るとなった際、動画配信サービスや通信回線、スマートフォンを取り巻く環境が変わったことから、「テレビ離れ」は相当加速化するのではないだろうか。

つまり、視聴者と放送局、そして家電メーカーとの壮大な釦の掛け違いに気づかない以上、今後テレビ業界は窮地に立たされるのではないだろうか。

平成31年1月10日 19時45分追記

昨年日本で一番売れた自動車はN-BOXだそう。

N-BOX が新車販売2年連続首位、トップ4を軽自動車が独占 2018年車名別 | レスポンス(Response.jp)

ちなみに、N-BOX以外にも上位の大半が軽自動車である。当然の話であろう。

日本の道路交通に関連するインフラが高度経済成長期からほとんど変わらない一方で、普通乗用車は国外市場に合わせて大型化し、軽自動車規格は20年前からまったく変わらずに性能や品質も向上している。

その一方で価格も上昇しており、N-BOXの価格に10万円ほど上乗せすれば普通乗用車の購入も視野に入るほどである。そういった車種が売れるということはすなわち、20年以上前に軽自動車に対して持たれていた「自動車の簡易版」というイメージも今では変わっているのではないだろうか。

その軽自動車も今では初代カローラと大きさ的にさほど変わらないと言われているほどである。つまり、初代カローラを念頭に開発された交通インフラを国外市場向けに大型化された車両で利用するのはどう考えても無理があるのは言うまでも無かろう。

テレビも同じような道をたどるのではないだろうか。そもそも、住宅事情の関係で大型テレビを置きたくても置けない人々は多いと思われ、コンテンツの視聴スタイルにしても大画面で腰を据えて視聴するようなものに注目が集まることはほとんどない。

そう考えると、前述のとおり地上波4K放送が始まったところでテレビの売れ筋が「32型ハイビジョンテレビ」から変わらないのではないだろうか。

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