根拠に乏しい「携帯料金4割値下げ」 MVNOつぶしになる恐れも

この件に関しては、実質的に4割引相当の値下げとなる分の品質やサービス向上、具体的には料金据え置きで通信量の追加、新たな付加サービスの追加という形でなされるのではないだろうか。

根拠に乏しい「携帯料金4割値下げ」 MVNOつぶしになる恐れも – ITmedia Mobile

この調査データは米国、英国、フランス、ドイツ、韓国と日本で比較されている。しかし詳細を見てみると、確かに20GBプランでは日本はドイツに次いで2番目に高いのだが、2GB、5GBで比較すると、平均的な位置付けとなっている。つまり、世界と比べても日本は決して高いわけではないのだ。

菅官房長官がズルいのは、あえて20GBプランだけを引き合いに出し「日本は高い」と主張しているのだ。

さらに菅官房長官は「OECD(経済協力開発機構)の(調査データの)平均と比べると日本は2倍近く高い」と発言しているが、このOECDの調査データも、各国、取り上げているプランがバラバラで、中にはプリペイドプランも混じっている。しかも、先進国以外も含まれているため、同じ基準で比較するのが無理があるというものだ。

他にも、品質という観点にも触れていないのは問題であろう。

日本の携帯電話は自動車が走行可能な道路や鉄道路線のあるところ、登山者に人気の山であれば辺りに人気の無いような場所でも大概使え、しかもLTEと表示されていることも大半である。他にも小笠原諸島や大東諸島のような本土から遠く離れた離島や君ヶ畑のような人口数十から数百人程度の山奥の集落でも問題なく使えることが多い。

松ノ木峠パーキングエリア

松ノ木峠パーキングエリア。便所と自動販売機だけが設置されている休憩所で周りに家や商業施設など何もないが、もちろんここでも普通に使える。

もちろん利用者数の多い大都会の駅でも輻輳して通信ができなくなるなんてことはほとんどなく、都市部の地下鉄や地下街、大人数が集まる商業施設みたいなところでも何ら問題なく使えることも数多い。

国が極端な値下げを要求することで真っ先に切られる場所はそういうところであろう。現に国外ではそういう場所ではそもそも利用できないか、もしくは2Gや3Gのみでカバーされているなど、制約が課されていることも多い。

それ以前に、20年前の携帯電話で7千円支払って出来ることを考えてみたらよい。その頃はただ所有するだけで7千円なんていうこともざらであり、ちょっと通話をしたり、コンテンツサービスを利用するだけで何万円と請求され、いわゆる「パケ死」と呼ばれる状況に陥った人々も多いのではないだろうか。

それが今では7千円ちょっとで動画も見放題、ちょっと追加料金を払えば音楽も聴き放題、ゲームも無料で提供されており、50GBもあればちょっとネットサーフした程度でそうそう使いきるなんてことはまず不可能であり、20年前と比較してできることははるかに増えており、それを「値下げ」と言わずして何というのだろうか。

10年前と比較してもそうであろう。当時はまだ通信量無制限であったが、パソコンやスレート型端末のような外部機器を携帯電話に接続して通信することが一切できず(テザリング)、通信速度も今よりはるかに遅かった。

5年前はそれの7分の1の容量の通信プラン(7GB)が基本料金込み7千円程度で提供されていた。ようやくその頃、公式にテザリングが解禁されたが、通話定額も一般的ではなかった。

つまり、5年前と比較しても、10年前と比較しても実質的に値下げされているわけである。もちろん最近ではライトユーザ向け料金プランも新設されており、それが今では2千円ちょっとで利用できるほどである。まず20年前に二千円で携帯電話を所有するということは難しかったことであろう。

料金値下げではなく、あえてデータ増量に踏み切った理由について、ソフトバンクのワイモバイル事業推進本部・寺尾洋幸本部長は「Y!mobileが提供する1480円という値付けをこれ以上、下げていくと、ショップ網の維持など、全体的な事業の継続性が危うくなってくる。この事業をどう続けていくかが重要だ」と語る。

この件に関してはソフトバンクの寺尾氏の主張に同意する。他にも、加入者管理にもコストがかかるのは言うまでも無かろう。

そう考えると、小容量プランを利用している顧客と大容量プランを利用している顧客のパケット単価を同一にすることはまず不可能と考えられる。全体としてパケット通信の提供に係るコストが下がっていたとしても、そこを引き下げることは難しいのではないだろうか。

それ以前に、仮に携帯電話料金を4割引き下げることができたとして、それが他の消費に回ることは現状まず無いと考えられる。

娯楽や余暇に関しては既に供給過剰の飽和状態でコンテンツの価格は下落傾向にあり、人々の「時間」という名のリソースも有限である以上、これ以上の市場拡大は望めない状況であり、家電製品などの日用品も既に必要としている家庭には行き渡っている以上、新たな需要を喚起することは不可能に近い。

そう考えると、携帯電話料金値下げで増えた可処分所得は消費ではなく、貯金へ回るだけなのではないだろうか。

Be the first to comment

Leave a Reply

Your email address will not be published.


*


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください