楽天、2019年末の”携帯参入”構想「6000億円で全国カバーできる」

ただ、それが実用になる水準で可能かと言えば、疑問視せざるおえないと思われる。

楽天、2019年末の“携帯参入”構想「6000億円で全国カバーできる」 – ケータイ Watch

ちなみに「実用になる」というのは多くの人々の利用用途である「緊急通報」が日本国内どこにいてもできるようになるかという話である。たとえば、山奥の峠を通る国道を自動車で走行中に事故を起こし、そこで警察や救急、場合によっては消防に通報できないとなると明らかに問題であろう。

ソフトバンクに対して求められた「品質改善」も論点はそこにあり、「サービスの多様性」という側面からすると今現在起こってる通り画一化させてしまうことから問題ではあるものの、品質向上を求める一方で多様性を求める消費者を一概に責めることができないのも携帯電話が既に「贅沢品」から「インフラ化」していることにより、一歩間違えれば人の生命や財産に関わる問題が起こることからある一定以上の品質を求められるのは仕方がないという考えからである。

ちなみに、過去のWILLCOMやFOMAの事例から考えると周波数帯域の問題でエリア整備ができないということはまずないと思われる。某社は「800MHz帯が無いからエリア整備できません」と言い訳していたものの、前述の通り800MHz帯を持たないPHSキャリアでも十分なレベルでエリア整備ができることやNTTドコモのFOMAエリアの大半が2GHz帯であることを考えると、地道に整備をすればできないことは無いのではないかと思われる。

ただ、それが来るのは相当先の話であろう。他社のLTEエリアも数年という短い期間で整備されたものではなく、そこまでに十年という期間があり、さらにアナログ時代や第二世代、第三世代も考えると20年30年という蓄積がある。いまやアナログ方式や第二世代通信方式はほとんど使われていないが、その基地局の跡地は今も使われていることが多いことから、20年以上に及ぶ蓄積に対して新興キャリアが容易にそれを超えることは難しいと思われる。

そう考えると、前述のとおり開始数年で整備し、前述の定義による「実用的な品質」を確保することは難しいのではないだろうか。

楽天が携帯電話事業に"失敗"する理由 | プレジデントオンライン | PRESIDENT Online

記事の内容にはおおむね同意するが。

そもそも、日本にはかつて、いくつもの「第4のキャリア」が存在した。古くはツーカーセルラー、最近ではイー・モバイル、ウィルコムといったところだ。いずれも「通信料金の安さ」を売りにしたが「全国津々浦々でつながらない」という弱点を持ち、結果的に会社は消滅していった。日本人は携帯電話に、安さよりも「どこでもつながる」という安心感を優先するのだ。

かつてソフトバンクが携帯電話事業に参入したときも、孫正義社長は「国民のために安い料金プランを提供する」と息巻いていた。その後、確かに他社よりも圧倒的に安い料金プランであったが、思った以上にドコモやKDDIからユーザーが流入することはなかった。

当時のソフトバンクは「安くてもつながらないのでは使い物にならない」として敬遠されていた。ソフトバンクが安価なホワイトプランに加えて最初にアイフォーンの独占的販売権を手に入れても、いまだにドコモがトップシェアなことを考えると、日本人がいかに保守的なのかがよくわかる。

保守的も何も、前述のとおり今や携帯電話は「贅沢品」ではなく生命や財産を守るための「インフラ」や場合によっては仕事を得るための手段としての「生活必需品」となっている以上、「安くてもつながらない」という事態になったら困るわけである。

一昔前はそこら辺に「公衆電話」という携帯電話の代替手段があったり、そもそも携帯電話が普及していないことを前提に社会が動いていたわけであるが、今や公衆電話も大半が撤去され、例えば派遣労働者も携帯電話がなければ仕事を得ることができない、携帯電話がなければ給与明細や源泉徴収票みたいな必要書類も閲覧できず、シフトを入れることもできない、LINEがなければ従業員同士で連絡ができないという状況になりつつある以上、携帯電話に対してある一定以上の品質が求められるのはある意味仕方のないことであろう。

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